東谷津レポート その215

2017.7.29(木) 山梨 10:30〜17:00  曇り

 

東谷津に小さな柚子の木がある。植えてからかれこれ7、8年になるが花も実もつけない。それもそのはず『桃栗三年柿八年、柚子の大馬鹿十八年』と言うから、あと十年はなんの役にも立たない頑固者だ。ある日、その頑固者にアゲハ蝶が羽を小刻みに動かしながら留まって尻を付けている。産卵だ。そうその頑固者も、食草として生態系の一環として自然界で役立っているのだ。そしてこのレポートも10年が経ち215回を数えたところで私は引退し、他のメンバーが継続する。


<アゲハの孵化>

アゲハの雌は感覚毛の生えた前脚の先(ふ節)で葉に触れ、フラボノイドやアミノ酸など数種類の物質を感知し、食草と確認して産卵するのだそうだ。ユズの若葉をさがすと、あった小さなちいさな卵が、数日後卵は変色し、孵化が始まった。

ユズの若葉に産卵された卵。極小だ。(写真左は人差し指の先)


2日後(実際は何日か不明)、卵は変色し(中の幼虫が透けて見える)孵化が始まるぞ。(11時42分)


幼虫が殻をかじりだし見えてきた。(15時02分)


頭を出した、大きな頭だね。(15時08分)


身をのり出して脱出開始だ。(15時09分)


足場を定めて一気に脱出。(15時10分)


脱出完了だ。殻をかじりだして13分、疲れが来たのか、環境の違いに驚いたのか動きを止め呆然としている。(15時15分)


ふっと我に帰ったのか、向きを変えて自身の出た殻を食べだす。(15時51分)


これは別個体のもの、殻を食べているのがよくわかる。


ついに完食(16時47分)。これ以降は柔らかい若葉に食を変え5齢まで脱皮を繰り返す間ユズは何枚の葉を与えるのだろうかな。

東谷津レポート その214

2017.4.16(日) 山梨 10:30〜14:00  晴

 

谷津の田んぼではシュレーゲルアオガエルが騒がしい。冬枯れ色の草原にも淡い緑色が散らばりだし、あわせて虫たちも動き始めた。ため池の水底に紐状のヒキガエルの卵塊があった。昨年4年ぶりに産卵に戻って来てまた今年も産んだのだ。


ヒキガエルの卵塊:昨年に続いての産卵だ。定着してくれるといいなあ。


ヤマルリソウ;林床に咲く可憐な花。直径10ミリほどの小さな花だ。思わず近寄ってしまう・・・


白い鱗片が可愛さを助長する。


セモンジンガサハムシ:背中に黄金色のX字の紋がある陣笠型の虫、ハムシたちも動きだしたようだ。


イタドリハムシ:食草のイタドリはまだちょっと早いんじゃないの。余計な心配ご無用、既に芽生えているスイバも食べるのだそうだ。


コミミズク:冬期のレポートでおなじみ、でもこれは抜け殻だ。どうやら最後の脱皮で成虫に成ったようだ。近くを探してみると・・・


小枝にへばりついている。


すっかり小枝になりきっているつもりだろうが、そんな枝はないぜよ尺取虫さんよ。


こちらも尺取虫、ボケの葉中から身をのりだす。

東谷津レポート その213

2017.2.24( 山梨 10:0015:00  晴

 

谷津の田んぼのあちらあこちらにヤマアカガエルの卵塊がみえだした。そろそろかれらの合戦が見られるだろう、かれらの都合に合えばのことだが。そんな日は暖かく、気の早いキタキチョウも飛び出すことだろう。待ち遠いねえ里の春。


イラガの繭:梅の枝先、花が咲きだしたが幼虫がでてくるのはまだまだ先だ。


アカコブコブゾウムシ:この個体は寒風吹きすさぶこんな場所で越冬だ。寒くないのかねえ、近寄ってみると・・・


自慢の象鼻ともに体をまるめてしっかりと枝にしがみつく。


キタキチョウ:ブッシュの奥のおく、ここで越冬だ


よくまあここまで入ったものだね。でもこのチョウは暖かい日は冬でも飛び出す。


ムラサキシジミ:「この中でムラサキシジミが冬眠してるよ」虫友が指差す先。枯葉だけしかみえないが・・・(写真中央のまるまった枯葉)


まわりの枝葉に触らないよう細心の注意を払って近寄り、画面を明るくしてみると・・・頭を下にして静止している。


キノカワガ:こちらはこの時期に出現する蛾だ。昼は名の通り木の皮に見事に擬態してじっとしている。


オナガグモ:カシの幼木の枝先が不自然だ。こういうところにゃ何かいるぞ、虫の見つけ方の常套手段。ナナフシの幼体かな、近寄って見ていると、動き出した・・・


クモだ。腹部が異常に長いオナガグモだ。このクモ巣網を張らず、数本の粘性のない糸を張り、そこを伝わって来たクモを捕えるのだそうだ。

東谷津レポート その212

2017.2.8( 山梨 10:0014:00  晴

 

谷津に一番早い春の兆しが現れた。そう、ヤマアカガエルの産卵が始まったのだ。とはいえまだ2月に入ったばかり、肌にさわる風は冷たいし、ため池には氷がはるくらいだ。谷津に響き渡る美声の大合唱とカエル合戦はまだまだ先だろう。


ヤマアカガエルjの卵塊:今年初の産卵。だが雨が降らず、このままだと卵は乾ききってしまうだろう。


シャクガの仲間の幼虫:ついに遭えたぞ。コナラの小枝の先端、冬に入ってこの小さな冬芽をいくつ見たことか。ここで春を待つ、うまいところにいるといつ見ても感心する。さてちょっとアングルを変えてみようか・・・


おおっと、不用意にカメラが触ってしまい、ちょっと動き出した。完全に目覚めさせてはいけない、動き回って捕食者にみつかってしまうかもしれないぞ。


幸い元のねぐらにおさまった。


カギバガの仲間の幼虫:ガマズミの小枝の下に陣取って越冬するのはアシベニカギバの幼虫のようだ。


トゲアリの死骸が変だぞ。枝先を噛み締めて死んでいるトゲアリ、肩口から3本の棒状のものが突き出ている。これらはトゲアリのもの(背中から前方に、腰部から後方に湾曲)ではない、冬虫夏草の一種かもしれない。


トラツグミ:湿地で足踏みしながら土中の虫を追い出して食べ歩いている。地面と枯葉枯れ草に見事に溶け込む。見失わないようカメラで追った。


じっとたちどまった。すると、羽根をばたつかせて体についたゴミを払い落としたのかな。こんな仕草も見せてくれた。

 

東谷津レポート その211

2016.12.3( 山梨 10:0014:00  晴

 

紅葉も終わり葉を落とし始めた雑木林の縁に1株のリンドウ、花の盛りも終わり落ち葉に埋もれてゆくだろう。もう花を開くことはないのだ。昆虫たちも冬支度を始めたぞ。


リンドウ:雑木林で1番遅く花を咲かせるが、その盛りも過ぎた。このつぼみはもう開かない。


クロアゲハの幼虫:柚の葉陰にまだ幼虫でいた。「お〜い、早く蛹にならないと寒くなるよ」


もそもそと動いて、陽の当たる落ち葉の上に移動した。これでは捕食者からまる見えだ。


キタテハ:越冬場所を探しているのかな。灌木の根本近くでゆっくりと翅を開いたり閉じたり。


ウラギンシジミ:こちらは越冬場所を決めたようだ。数日前からここに留まっているそうだ。


ナカキシャチホコの幼虫:膝丈ほどの小枝に静止、もうすぐ土の中にもぐって蛹で越冬かな。逆光に半透明の体色が美しく、撮る時はいつも逆光から。


コミミズクの幼虫:小枝にぺたりと貼付いて春までここに留まる気かな。脚は体の下と横にすっぽりおさまり、立ち上がって歩きださないと見えない。